事象
ルータ構築も完了、回線敷設も完了してあとは接続するだけだ! となった際、いざ現地で回線終端装置へ接続してもリンクアップしないことがあります。
その原因と対処を説明します。 対処は「回線終端装置のLAN側もWAN側も接続してみよう」です。
今回はIP-VPN(いわゆる閉域回線)を使用した下記構成を例とし、 リンクパススルー機能が題材です。
リンクパススルー(LPT)とは
キャリア設備の仕様にもよるのですが、 リンクパススルー機能が有効の場合、対向の回線終端装置も接続しないと、 WAN側がリンクアップしません。
対向のWAN側のみが確認の対象となっていることと、
LAN側も確認の対象になっていることがあります。
1拠点のWAN側を接続し、リンクアップ(LED点灯)したことを確認してから、 対向拠点側を接続する手順にしていることもあると思います。
これを知らないと現地でWAN側を接続したにも関わらず、 リンクアップしないので、機器や回線故障を疑って慌ててしまいます。
何のための機能?
回線は冗長化することが多く、常に#1側を使い、障害発生時に#2側に切り替える設計が多いです。
リンクパススルー機能が無効の場合、ルーティングプロトコルやIP-SLA等で障害検知と経路切り替えができる場合は良いのですが、そうでない場合は、拠点Aの下記箇所が障害になっても、拠点AルータのWAN側はリンクアップしたままです。
このとき拠点Bは#1側の回線を使おうとするため、利用回線が切り替わらずに通信断になってしまいます。
利用者のネットワーク機器ではなく、キャリアの設備側で切り替わりを考慮するという考え方ですね。